サラリーマン大家は1棟目から法人化すべきか?【最適タイミング】

こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。個人・法人で12棟ほどの不動産を賃貸経営しています。

 

今回は、よくご質問いただく「法人化のタイミング」について言及してみたいと思います。

 

本記事は、これからはじめて1棟目を買う方向けですが、すでに法人設立された方も、個人法人の使い分けの参考にしてもらえればと思います。

1棟目から法人化は時期尚早

結論から言うと、サラリーマン大家さんは1棟目から法人化する必要はまったくないです。

 

しかし、例外もいくつか存在するので、前半で理由を解説しつつ、後半で例外について触れていきます。

 

まず、次の5つの視点で1棟目の法人取得をおすすめしません。

 

1棟目から法人化をおすすめしない理由
  1. 小ロットなら税金は気にならない
  2. 初期フェーズは短期保有になることが多い
  3. 法人維持コストが馬鹿にならない
  4. 不動産投資が自分に合うか分からない
  5. 法人のお金は自由に使えない

 

それぞれ簡潔に触れていきます。

 

1.小ロットなら税金は気にならない

弊ブログでは常々、不動産投資をこれからスタート人は低価格物件から取得することを推奨しています。ベテラン大家さんでも、最初は小さな戸建てや区分マンションなどからスタートしている方が多いです。

 

金融投資でもそうですが、リスク許容度が低いうちからハイレバでマーケットに立ち向かうと、だいたい痛い目に会います。もちろん大きく張って、大きな実入りを狙うのは個人の自由ですが、ギャンブル性も高いですね。

 

経験がないうちはどうしても見る目がなく、中途半端な物件を掴んでしまいがちです。ですから1棟目で大きな物件を法人で買うのは、避けたほうが良いというのは私の結論ですね。

 

小ロットで参入するなら家賃収入はさほど大きくありません。区分ワンルームや戸建てを1棟買うだけなら、せいぜい家賃は5万〜8万/月くらいです。年収にして100万円も行きませんね。

 

そこから減価償却費、リフォーム費、その他経費(管理費・修繕費・固定資産税・ローン金利など)、支出も色々ありますから、最終的な所得は、そんなに大きくならないものです。

 

税金を過度に気にして1棟目を買うより、むしろサラリーマン給与との損益通算で、所得税還付を狙うというのが王道でしょう。とくに、築古不動産の場合は、減価償却費が大きくなりますから、しっかり節税策として活用したいところですね。

 

とうぜん減価償却費は税金の繰り延べにすぎないことはお忘れなく。将来、売却するときに譲渡所得税となって返ってきます。もちろん法人であれば、その際に大規模修繕をおこなって税金を相殺することは可能です。

2.初期フェーズは短期保有になることが多い

自己資金があまりなく、最初から大きな物件を買えない投資家の場合、買いながらも売って、利益確定することも大切になります。規模拡大には、かならずキャッシュが必要になるからです。

 

その場合は、法定耐用年数超えの木造物件を購入して、4〜5年で建物分を減価償却しつつ、長期譲渡税に切り替わる5年目以降で売却をする手法が一般的です。

 

一度利確して、キャッシュポジションを上げて、より大きな物件を買うということです。

 

築浅で長期保有する物件は別ですが、自己資金がない人は、高利回りで築古(築20〜30年)のものを購入していく手法を選択することになります。

 

すると古くなりすぎる前に利確してしまうのが、一番投資効率は良くなります。インカムで土地分まですべて回収し切るのはけっこう時間が掛かります。一度現金にするほうが、銀行からの信用も回復する意味もありますね。

 

3.法人維持コストが馬鹿にならない

 

法人を設立して、税理士を雇うと毎年20〜30万くらいの顧問費用がかかります。年間家賃が100万、200万の時期にこの費用を掛けるのは、正直かなりもったいないです。

 

もし法人で青色申告するなら、売上が少ない時期は自分で仕訳・記帳・決算申告までするほうが良いでしょう。

 

ちなみに、ペリカンは「法人の確定申告・決算書作成を自分でやるならfreeeがオススメ」でも書いたように、クラウドの会計ソフトを使ってセルフ申告しています。

 

スピード感を持って拡大できそうなら税理士費用も吸収できますので最初から法人もアリですが、まだどうなるか分からない人は、最初は個人取得される方が良いでしょう。

4.そもそも不動産投資が自分に合うかも分からない

これは、そもそも論です。不動産投資をやってみたけど、自分に合わない場合、設立した資産管理法人を解散させるのもけっこう面倒くさいです。

 

ですから1棟目は個人で取得し、軌道にのって賃貸経営が面白いと感じるなら、2棟目から法人化するのも一つの手です。

 

このあたりは覚悟の問題でもありますので、どれだけ不動産投資で生計を立てていく気持ちがあるのかにもよりますね。あくまで副業ということでしたら、個人名義でも良いでしょう。

 

5.法人のお金は自由に使えない

当たり前ですが、個人と法人は完全な別人格ですから、「今月は出費が多いから、法人口座からちょっとお金を借りよう」などということはできませんね。

 

一方、個人で物件保有し家賃収入も個人口座に入るなら、使い方は自由です。サラリーマンリタイアを目指すなら、退職したら会社からの給与はゼロになりますから、そのインパクトは大きいものです。

 

家賃収入がすべて個人口座に入金され、その中で家計分・貯金分・再投資分と振り分けるほうが、売上がそんなに多くない時期は、なにかとフレキシブルに対応できます。

例外:最初から法人化した方が良いケース

 

最後に、例外について書きます。

 

まず、サラリーマン所得が大きい人(お医者さん、大手企業サラリーマン、士業の方)は本業の収入が大きいので、そこに家賃収入が乗っかってくると、税金が過大になります。

 

こういう方は、法人で所得分散するほうが税金の面では楽になると思います。

 

また、最初からRC造の1棟マンションなど、大きいなロットの物件を買う人は、家賃収入が1棟で数百万単位で増えていきますので、法人での取得が好ましいでしょう。

 

あとは、新築・築浅系で長期保有する目線で買う人は、法人の方が長期ホールドして節税するには適しています。ただ低利回りアパートは、家賃下落や修繕で苦労することがありますので購入は慎重に検討しましょう。

 

まとめ:法人化は規模拡大が見えてからでも遅くはない

 

私も現在、12棟中8棟は個人所有してます。今のところ所得税・住民税はかなり低くなっていますので、税金を抑制しつつ運営できていると感じています。

 

私の賃貸経営は今年で8年目です。すでに長期譲渡税に切り替わってきた物件が毎年出てきますので、「売りながら買っていく時期」になりつつあります。

 

5年前に法人設立しましたが、それも個人である程度の規模拡大はできて、今後は法人を育てて行こうと思ったからです。

 

まずは個人の収入を安定させて、余剰資金を法人に回して拡大していくことが肝要だと考えています。したがって、繰り返しになりますが、結論、「法人化は規模拡大が見えてからでもぜんぜん遅くはない」というのが私の考えです。

 

以下、関連記事です。

 

▼法人による健康保険料の節税方法です。個人で規模拡大すると、保険料がとても高いのでその対策です。

 

▼サラリーマンリタイアを5年で目指すのは不可能ではありません。戦略の組み方次第です。

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