新築アパート投資の評判
新築1棟アパート投資というと、非常に聞こえの良いように感じます。
よく言われることとして、、、
- 新築なら客付け上、競争力がある
- 新築なら10年くらい設備が壊れない
- 新築なら安定した賃貸経営ができる
このどれもが事実であり、けっしてウソという訳ではありません。
立地が間違っておらず入居付けが問題ない状況で、利回り10%以上を出している凄腕の新築アパート大家さんもいらっしゃいます。
このような投資家さんの多くは、土地から探して、間取りを工夫し、部屋の居住性や設備面での賃貸競争力を上げて、非常にうまく運営されていらっしゃいます。
そういう投資家さんは、間違っても、業者が土地+建物をパッケージ化して、融資もセットで販売されているような利回りの低い物件(利回り6〜7%程度の物件)には、見向きもしません。
不動産投資は、誰にでも儲けを生む魔法の杖ではないのです。その裏には、物件や土地仕入れの情報を日々追いかけて、利回りを確保するための隠れた努力がたくさんあるのが事実です。
そういう点で、「新築アパート投資で財を成す」というは投資初心者には、かなりハードルが高い投資とも言えます。
「新築」だから入居が決まる時代ではない
当然ながら、新築アパート投資は、竣工後に客付けもゼロ(全空状態)から始めなければいけません。これが新築アパートの最初にして最大の試練です。
ここで躓く方が非常に多いと思います。
例えば、土地1000万円、建物3000万円で1LDK6世帯の新築アパートを建設したとします。1世帯あたり月々の家賃を6万円で想定すると、家賃収入は432万円(6万×6世帯×12ヶ月)になります。
ローン融資は土地+建物+諸費用8%で4320万円ですから、利回り10%(年間家賃432万円÷ローン4000万円)という高水準の新築アパート投資ということになります。
しかし、ここで最も注意すべきは、相場家賃を見誤ってしまうことです。
もしこのケースで、入居付けが思うように進まず。家賃を1世帯55,000円まで下げるとすると、満室時の利回りは9.1%まで下がります。
しかも、これは新築プレミアが乗っかっている状態ですから、1回目の入居者が退去してしまうと家賃が下がります。10年後に家賃が5万円になると利回りは8.3%になります。築20年ともなると家賃は4万5千円くらいになると利回りは7.5%になります。
ですから新築アパート投資の最も気がかりなのは、やはり家賃下落です。
今は家余りの時代なので、新築というだけで入居者が高い家賃で決まる時代ではありません。私の投資エリアでも、新築アパートが乱立して、常にポータルサイトで募集掲載されている物件が沢山あります。
返済比率とキャッシュフローについて
次に新築アパートのキャッシュフローがどれくらい出るのか?について考えます。
上記の新築アパートを、ローンを金利1.5%・25年という、ある程度の好条件で組んでいたとします。最初の数年は家賃収入が毎月33万円に対して、返済が17万円ちょっとなので、返済比率51%なので回ります。
しかし15年〜20年経って、家賃が45,000円まで落ちると、毎月27万円の家賃収入に対して返済が17万円で、返済比率が63%まで高まります。
そこから管理費・修繕費・定期清掃代・共用部電気代など支払っていくと、おそらく手取りは6〜7万円のキャッシュフローになります。
しかも元々の利回りがそこまで高くないので、金利上昇の煽りも受けやすくなります。
新築アパート投資は、そう遠くない未来に家賃は確実に下落していきます。サブリースでも5年固定で、その後は2年毎の見直しということが多いので、どこかで手取りもガクンと下がっていきます。
家賃下落させないために、泥臭く営業したり、圧倒的に内装とリフォームを差別化し続けて、競争力をキープできる自信がある人なら良いでしょう。
25年〜30年間ずっと満室をキープをできれば、最後は土地と建物が手に入ります。それを老後資金として活用できるという算段であれば問題ありません。
しかしながら、、、
新築アパートが家賃保証があるから安心だとか、融資が組めるうちに買っておく、という安易な発想で投資すると、火傷をする確率は高くなるでしょう。
新築アパート投資の運営&出口戦略
たとえ新築で建てても、10年〜15年経つと、立派な中古アパートです。そのタイミングで旨味がどんどん無くなっていくことが予想されます。これが新築アパート投資の現実です。
特に、フルローンやオーバーローンで投資している人は、よほどの高利回りでないと長期保有していく中で苦しくなったり、最悪マイナスキャッシュフローになる可能性もあります。
したがってこの投資の妙味を出すためには以下の2つです。
- 購入時に自己資金を1割〜2割入れる
- 途中で繰上返済してリスクを下げる
資産背景のしっかりした熟練の投資家さんが新築アパート投資をする場合は、購入時にある程度の頭金を入れている方が多いです。それによりバランスシート上も債務超過になりにくくなります。
もう一つの方法は、サラリーマン給与や、その他の副業収入からガンガン繰り上げ返済することで返済比率を下げることができます。最終的に、無借金化して絶対失敗しないレベルに持っていく方もいらっしゃいます。
あとは、老後に向けて割の良い定期預金くらいに考えて、ローン返済の終盤は多少キャッシュアウトしても、ゆっくり資産形成する方もいますね。
新築アパートを1棟だけ購入して老後まで持ち続けるというのが、けっして間違っているわけではありません。これも資産形成の一つの方法です。
しかし25〜30年所有し続けるのは、かなりのエネルギーが必要になるのは覚悟しておきましょう。
ペリカンが新築アパート投資をやらない理由
私の場合、現在は築古のアパートと戸建てを買い進めながら、現金と与信を蓄積するフェーズだと考えています。
新築投資をするには、ある程度の自己資金を多めに入れないと妙味が出てきません。また築古物件でも、頭金のキャッシュは最低限必要になります。現在の私は、再投資用のキャッシュを貯めることをプライオリティー1番に取り組んでいます。
また、今後は金利上昇の可能性も考えていかなければいけません。
そういう意味では、中古物件を購入して5年〜7年所有した後に売って売却益を出すスタイルの方が、金利が上昇してしまったときの安全性が高い、という仮説を私は持っています。中古なら最短4年は減価償却が取れることができて、節税になります。
新築で15年、20年ホールドする投資は、今の私のフェーズでは難しいです。もちろん金利が上昇しなければ、これは杞憂に終わります。それはそれで問題ありません。
一方で、新築1棟アパート投資の魅力は、自分の物件をゼロから立ち上げデザインする楽しさなど、違う側面のやり甲斐もあると考えています。
私も将来的に資産的な余裕が出てきた時に取り組んでみたい投資法の一つだと考えています。
以下、参考記事です。
▼家賃収入50万というシンプルな目標を立ててやるのも悪くありません。
▼私が実践している戸建て投資の収益性について全公開しています。