築古アパート投資の隠れたリスク【人口減少社会で生き残る賃貸経営】

こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。地方でこれまで築古アパートを3棟ほど賃貸経営してきました。

 

築古アパートの最大のメリットは、「家賃が落ち切っているので利回りが堅い」という点かと思います。新築アパートのように入れ替えが増えるたびに、徐々に家賃が落ちていくのとは対照的です。

 

しかし、必ずしもそうではないケースも多々あります。今回は、私のアパート経営の経験をもとに、築古アパート投資の注意点とリスクについて、経験をもとに解説していきます。

 

これからはじめて築古アパートを購入するサラリーマン大家さんには、わりと参考になると思います。ぜひ最後までご覧くださいませ。

築古アパートは家賃下落しない→これは嘘です

 

私が2棟目に購入した群馬県のアパート事例をもとにお伝えしていきます。この町は、地方都市ですが人口が20万人以上いるそれなりに工業都市です。

 

このアパートは購入当時、満室で内見できず外観と周辺環境だけ見て購入しました。10世帯の月額家賃は343,000円で、1世帯平均34,000円でした。

 

私の方でもSUUMOやHOMESで家賃相場をチェックしましたが、2万円台の単身向け物件も多く、中には3点ユニットでは1万円台もありました。

 

その時点で「ちょっと高めのレントロールだな」と思って、違和感はありました。

 

しかし、お部屋も10帖あって広いことや、近隣にスーパー・ドラッグストアもあり利便性も悪くないので、競争力が高い物件だと、自分の都合の良いように判断して購入してしまったわけです。

 

案の定、購入後は入退去がある度に家賃が下落して、かなり痛い思いをしました。

 

最新の月額家賃は329,000円なので、14,000円ほど落ちました。4部屋の入れ替わりがあったので、一部屋あたり3,500円落ちたことになります。かなり大きな下落です。

 

このアパートは業者売りでしたが、おそらく高めの家賃で入居させて満室になった瞬間に売りに出し、それを私が購入してしまったのでしょう。

 

ちなみに月たった14,000円の違いかと思うかもしれませんが、これは売却時にかなりインパクトがあります。例えば利回り13%で売る場合、売却価格は以下のようになります。

 

売却価格のシミュレーション
  • 月額343,000円×12ヶ月÷13%=3166万円
  • 月額329,000円×12ヶ月÷13%=3037万円

 

実に、130万円くらいの違いが出てきます。つまり家賃1000円あたり、10万円弱の価値ということですね。

 

売却を考えると、家賃をできるだけ落としたくない投資家さんが多いのは、そういうことですね。

地方築古アパートの意外なメリットと学び

 

私にとって家賃下落はかなり想定外でしたし、それにより利回りが下がり、ローン返済比率も上がるというトリプルパンチを受けてしまいました。

 

しかし、良い面もありました。それは、この3年間で4部屋の退去しか無かったことです。

 

通常、単身向けだと3年に1回入れ替わるとしたら、10部屋あれば1年に3部屋ほど入れ替わる計算です。3年だと9回は入退去があるはずなのに、このアパートはかなり低い退去率になっています。

 

地方だと割安で利便性の良いアパートだと、こういうこともありますね。長く住んでもらうことが一番の空室対策ですが、都市部と違って定着率が高いのも地方アパートの特徴かもしれません。

 

このアパートは空室が出てもなかなか決まらなかったり、これまで色々な苦労がありましたが、私の投資家としての経験値を上げてくれました。

 

何事も失敗してからスタートです。私にとっては「頑張れば何とかなる」と思えた、学び多き物件になりました。

 

あとは築古アパート投資は「出口で躓かないこと」が大切です。

 

買う時に、自分の基準に満たない水準で買わないよう、ブレない基準と意識が求められるのです。

私が新築アパート投資をやらなかったワケ

最近は、銀行に新築アパートの融資依頼をしてもなかなか出ないようです。出たとしても多額の自己資金を求められることが多くなっています。

 

こういった新築系の融資審査が、にわかに厳しくなった理由はシンプルです。

 

それは5年10年と時が経つと、家賃が下落して収支が回らなくなる可能性が高いためです。

 

よっぽど好立地でもないかぎり、いくら新築でも収益性の低い物件に対して、銀行が過度なリスクを負うことはありません。

 

その結果、投資家が自己資金を2割、3割と出さざるをえない状況になってきています。

 

新築アパート投資をやるなら自分で土地を探して仕入れて、安い工務店に依頼し建築することが欠かせません。建築後は、残債が減少してきたら家賃下落する前に売却する、というのが王道になってきます。

 

もしくは、期間20年程度の融資なら、一気に完済してしまうのも一つの手です。そうすれば無借金キャッシュフローという最強の状態になりますからね。

 

ペリカンは新築アパート投資は、実は昨年くらいからスタートしたのですが、土地を購入して自分で探した工務店で建築してもらうスキームでやっています。これなら利回りが9〜10%狙えるので優良な投資になります。

(参考)(土地から新築アパート1号)新築の経緯&土地探しスタート

人口減少社会で生き残る賃貸経営術

 

すでに多くのエリアで物件供給が過剰になっています。これから人口が減っていくと、ますます供給>需要となり、家賃下落との戦いになることが予想されます。

 

賃貸経営者は、「努力と工夫」でこれを乗り越えていく必要がありますが、生き残るのは次の2つの物件タイプに収斂していくと私は考えています。

 

これからも生き残る物件タイプ
  • 安くてクオリティの良い物件(コスパ重視)
  • 圧倒的に差別化された物件(付加価値重視)

 

私は、かねてより前者の「地域最安値かつ、そこそこクオリティが良い物件」を目指して、経営しています。

 

これは築古アパートに多額のコストをかけてリノベーションすると収支が合わなくなるからです。都市部の土地値が高い立地であれば、リノベで満室化して回収する価値はありそうですね。

 

もう一つは、圧倒的にリノベしたり、新築系で家賃の落ちにくい素敵なアパートを作れるなら、後者の「付加価値重視の戦略」が取れるでしょう。

 

ただし、時代を超越して付加価値をつくることは大変なのです。賃貸住宅において、機能面はもうやり尽くしている感がありますね。

 

唯一、デザインは差別化要素になりえますが、多くの人に受け入れられるもので、かつ長く支持されるものである必要があります。

 

 

ファッションで言うと、シャネルになるのか、GUになるのかの違いのようなイメージです。

 

圧倒的な高級志向ならシャネルですが、安くてそこそこ見栄えが良い商品ならGUで十分ですね。

 

そして今後生き残っていく賃貸住宅は、このように2極化していくではないかと私は考えています。

 

一番良くないのは、クオリティもそれなりで価格も普通の物件です。こういう特徴のない物件は、なかなかお客さんに選んでもらえませんね。

 

世の中のスピードは我々が思っているよりも速く進んでいます。大切なのは築古・新築にかぎらず、ターゲットとなる入居者が何を求めているのかを正確にキャッチすることです。

 

自分なりに創意工夫して住宅(プロダクト)をつくり出し、世の中に提案していくような気構えが必要になってきます。そうでなければ、あなたの賃貸経営は徐々にですが苦しくなっていくことでしょう。

 

以下、関連記事です。

 

▼常時満室経営であれば怖いものはありません。リフォームによる差別化事例です。

 

▼売却のために家賃を上げて募集すべきかについて私なりの見解です。

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