こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。地方でアパート3棟、戸建て8棟の賃貸経営しています。
「グループホーム」という障害者向けシェアハウスなる投資法が最近、流行っています。先日、健美家さんのコラムで特集されていましたね。
戸建てをリフォーム改装して、障害者の方に貸し出すモデルのようです。
しかし何となくコンセプトは分かるものの、ビジネスモデルや収益性などが、なかなか見えてきません。そこで今回は、グループホームをFC展開している会社の事業説明会に、私が参加してきましたのでご報告します。
本記事では、グループホームの投資利回り、将来性、考えられる課題などを解説します。グループホーム投資を検討されている方の参考になれば幸いです。
障害者向けグループホームとは?
わかりやすく言うと、「障害者向け・生活支援付きシェアハウス」です。
戸建てが基本で、1棟あたり4〜5名で入所してもらいます。
各部屋にカギが付いており、LDKが食堂のようになっています。
基本的には、生活の見守りサービスになりますね。
まさに食事&掃除付きの、障害者向けシェアハウスということになります。
グループホーム投資の利回りはどれくらいか?
売上の柱は、以下の2つあります。
- 国からの訓練給付金
- 入所者からもらえる家賃・光熱費
実際の利回りはどのくらいか?
今回、私は参加した説明会では以下がざっとの収益モデルとして紹介されていました。
あまり詳細の数値は出せないので、ざっくりと書いておきます。
※戸建て2棟分(9名入所の場合)のシミュレーションです
- 訓練給付金 155万円
- 家賃&食費&水道光熱費 70万円
◆費用(B)
- 人件費(サービス管理責任者・世話人など)110万円
- 食材提供&FC本部へのロイヤリティ支払い 20万円
- 販管費(物件賃料・消耗品・光熱費など) 40万円
◆営業利益(AーB)
- 55万円(営業利益率24%程度)
オーナーの初期投資としては600万円(開業支援)ほどなので、満室なら1年弱で初期投資額を回収できるということになります。
600万円の初期投資で、毎月55万円のキャッシュフローが入ってくると考えると、すごい利益率ですね。
なお障害者向けグループホームは現在施設数が少なくて、入所の申込みが殺到しており、2〜3ヶ月もあれば満室になる状態だそうです。
※ただし収益性もかなり不安な部分があったので後述します。
収益性を支えるFC本部のサポートとは?
FC本部からは、以下のサポートを受けることができます。
- マーケティング調査
- 人材募集サポート
- 消防設備設置サポート
- オペレーションマニュアルの提供
- 入居契約書の作成サポート
- 国保連への給付請求手続サポート
- 入居促進営業のサポート
- 内覧会の実施方法サポート・・・etc
上記のとおりです。
オーナーが障害者向けグループホームを運営するための総合サポートという位置づけですね。
グループホーム経営における5つの課題
私が感じた課題をまとめておきます。
主に以下の5つですね。
- 物件探し
- 人材採用
- 日々の運営マネジメント
- マーケットの将来性
- 事業性に疑問符!?
それぞれ簡単に触れておきます。
物件探し
今回の主催社(FC本部)もおっしゃっていましたが、立地の良い戸建てを確保するのが大変なようです。
その点で言うと私はすでに賃貸業で8棟の戸建てを所有しているので、活用できるかな?と期待していたのですが、立地条件として市街化区域かつ新耐震基準の建物でないといけないという条件がありました。
また障害者の方々は、徒歩か自転車で駅まで通えるのが理想なので、駅徒歩圏の戸建てでないと難しいようです。
もちろん、バス便でも運営次第で可能かもしれませんが、入居者の安定的な確保にリスクがでてくる可能性があります。
人材採用
2つ目は人材採用の課題を乗り越えなければいけません。
グループホームには、サービス管理責任者(常駐)と世話人(非常勤)と夜間スタッフ(非常勤)などのスタッフを確保しなければいけません。
とりわけサービス管理責任者(通称:サビ管)の存在は大切で、看護師、ヘルパーなどの資格保有者を配置します。
このサビ管が、急に自己都合で辞めたりすると、オーナーは人材採用に追われることになります。
日々の運営マネジメント
私がやっている不動産賃貸業だと、賃貸契約したらり基本は手間いらずです。勝手に家賃が入ってきて、1年に1回くらい修繕要望があるくらいです。
しかし、グループのホームのオーナー(経営者)は、毎月の給付金請求業務や、トラブル対応、ルール徹底などの諸業務がけっこうあります。
また空室があれば、精神科や就労支援学校へ入居促進営業をしたり、先ほどのサビ管が辞めたときの人材採用・面接など、すべてオーナーが自分でやらなければいけません。また、入居者どうしが喧嘩したり、揉めた時は退去を促したりといった業務も発生します。
したがって手間いらずの不労所得に近いイメージだと、実際の業務とのギャップがかなり生じるものと思われます。グループホームオーナーはかなりの覚悟と努力が求められます。
マーケットの将来性
グループホームであれば、賃貸空室率が高いエリアにおいても満室経営できるそうです。これは人口減少トレンドの日本において、一寸の光とも言えるかもしれません。
しかし、FCでスタートする事業者が増えると、一気に競争が激化する可能性は秘めていますね。これはコインランドリービジネスに近いものがあるかもしれません。
将来的には高齢者介護のように飽和してくる可能性を考えておく必要があり、すでに少なくない市町村でグループホームは飽和しつつあるようです。
収益性に疑問符!?
先ほど初期投資600万で、満室なら毎月55万円のキャッシュフローということで、収益性の高さに言及しました。
しかし、これは9名入居で毎月225万円の売上のため、一人あたり24万円の売上を担っています。一方で、毎月の固定費は170万円ほどあります。
つまり9室中2室の空室が出ると、ほぼ営業利益が無くなるという事業構造になっています。
これは人件費や販管費などの経費率が固定で75%かかることから、満室でないと利益が出ないビジネスモデルになっています。
もちろん障害者向けのグループホームは枯渇しており、現在は入居待ちが発生するような状態ですので、こういった空室リスクは杞憂に終わる可能性はあります。
しかし、一人退去者が出ると24万円の売上が失われるインパクトはかなり大きいと言えますね。
またひとたび、事業的に厳しいとなり撤退することを決断しても、入居者の引っ越しが完了するまでは、物件の賃貸契約を即解約できませんし、スタッフの人件費は掛かりますので、数ヶ月間は赤字垂れ流しになることも大きなリスクですね。
おわりに:グループホーム投資の可能性
グループホーム投資に対する私の率直な感想としては、不労所得とは一線を画しており、運営するにはかなりの覚悟が必要ということですね、
もちろんグループホーム事業は、まだ黎明期でマーケットニーズも存在しますから、大きなチャンスなのは確かです。
これからグループホーム投資を検討されている方は、不動産投資のように家を貸して家賃を得るという単純なビジネスではない、ということだけは十分に心得ておかないといけません。
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