不動産投資の空室対策を極めるための8つのポイント

こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。賃貸業7年目で、家賃年収は1400万円ほどです。

 

さて不動産投資で失敗する人は、おもに以下の3パターンでしょう。

 

1つ目は、利回りが極端に低い物件を購入してしまうことです。基本は表面利回りから融資利率や経費、その他税金を引いた残りが手取り収入になりますので、元々の表面利回りが低いと危険度が高くなります。

 

2つ目は、瑕疵物件・経費過多の物件を購入してしまうことです。雨漏り・白蟻・傾きという3大瑕疵だけではありません。エレベータ修繕・配管劣化・屋根外壁劣化など、設備や建物本体に大きな損傷がある場合、その点も考慮した経営が必要になります。費用がかかれば利益はその分薄くなっていきます。

 

最後は、本記事でお伝えする空室率の上昇です。ここは経験値の比較的高い、ベテラン大家さんでも苦労することがあります。満室なら利益が出るのは当たり前ですが、一番の問題は入居率です。

 

私の感覚では、半年以上も空室が続いているお部屋がある場合は対策が遅れていると言われてもしょうがありません。というわけで、賃貸経営における「空室対策」について8つのポイントを解説します。

1.基本はWEB→店舗来店の流れ

WEB検索

 

入居者募集で一番肝になるのは、インターネットです。お客様は、基本は自宅のパソコンやスマホから条件で絞って良さそうな物件があるかどうか閲覧し、見たい物件があれば電話かWEBフォームで空室確認するというのが一般的です。来店はその後です。

 

よく賃貸の激戦区で営業マンに物件を認識させるためにお土産を持って持参するオーナーの人がいます。これは効果は無いとは言えませんが、基本は商品を選ぶのはお客様です。

 

リフォームの工夫もせず、家賃の工夫もしていない3点ユニットバスの不人気物件ならいざ知らず、インターネットで埋もれてしまっている特徴のない物件は、陽の目をみるのに時間がかかります。

 

逆にインターネットで常に目立てる美人物件は強いです。「美人物件」とは新築や高級な設備がついている物件のことだけではありません。そうであるならボロ物件や築古物件に勝機が無くなってしまいます。そんなはずはありません。

 

美人物件とは、リフォーム方法や家賃の見せ方など顧客から見て、トータルで魅力的に映る物件のことを指します。

2.解約通知が届いたら即募集スタート

入居者の退去というのは、1ヶ月前の予約期間を経て、退去になります。2月末に退去なら1月末に退去予告、3月末に退去なら2月末に退去予告が必ずあります。

 

つまりこの1ヶ月という期間が、早期申込みの一つ目のポイントになってきます。通常はその間にリフォームしますが、この時点でインターネットでの募集をスタートさせることがポイントになります。

 

その際、家賃・管理費・敷金・礼金・仲介手数料については、管理会社と綿密にその都度、相談するようにしましょう。けっして、オーナーだけで募集条件を決めないことです。

3.時期により取れる家賃は変わる

季節ごとの賃貸市場の動きをしっかり把握しておきましょう。

 

特に、1月〜3月(最大4月上旬くらい)の賃貸繁忙シーズンは、一年で一番高い家賃が取れます。繁忙期は、良い条件の部屋から埋まっていきますし、早い者勝ちになります。ある意味、勝ち組物件と負け組物件が明確です。

 

5月のゴールデンウィーク以降は動きが緩慢になりそれが6月くらいまでが続きます。3〜4月に空室が出た場合は、この時期が最後のチャンスだと思ってください。5、6月は結婚式

 

7月、8月は賃貸の超閑散期で、本当に動きが少なくなります。この時期は、本当にお得で良い部屋だったら引っ越したい人、または秋の異動が早めに決まっていてゆっくりお部屋を探そうという”まったり検討”の人が多くなります。この時期は、リフォームを工夫して、家賃を割安にしないと決まりにくくなります。

 

9月、10月になると企業では秋の異動・転勤シーズンになります。また結婚シーズンでもあるので新婚さんの需要もそれなりにあります。11月はまた一旦相場が静まり、12月は大学の推薦入試が終わってお部屋探しが始まるので、単身物件の問い合わせが出てきます。

 

こういった1年の流れを見ると、単身物件とファミリー物件によっても需要が変わってきます。それぞれのターゲットの繁忙期・閑散期に応じた家賃コントロールをしないと、相場とかけ離れた募集条件になっていることがありますので注意しましょう。

4.営業マンの客付け優先順位

空室対策

 

まず管理会社(客付け会社)というのは、少ないところでも200〜300室、多いところだと500〜1000室程度の賃貸募集を随時しています。

 

厳しい話ですがその中で「あなたの物件は、あまたある空室の中の一つ」なのです。だから客付けの優先順位というものが存在します。

 

最近は、管理会社によっては入居率を数字で追って、空室を埋めている会社も多くなりました。空室を埋める優先順位の多くはは、通常以下のようになっています。

  1. 決まりやすく広告料が多い自社管理物件
  2. 決まりやすい自社管理物件
  3. 広告料が多い自社管理物件
  4. 決まりやすい一般物件
  5. 広告料が多い一般物件
  6. その他の物件

 

管理物件とは、家賃集金・トラブル対応など管理費をもらっている物件です。一般物件とは管理費をもらっていない他社物件です。最近は自社管理物件の入居率をアピールする不動産会社も多くなりました。

 

また大手では管理部門は、クレーム対応や家賃集金だけでなく、管理物件の入居率が高まるよう、賃貸部門と積極的に社内会議をする会社も増えています。そういったことから自ずと、管理物件ファーストの客付けが大原則です。

 

次に「決まりやすい物件を紹介するか、広告料が多い物件を紹介するか」は、賃貸シーズン(時期)、お客様の質、営業マンの考え方によっても変わります。何社も不動産会社を回りそうな人には、自社で専任募集しているオリジナル物件など自信のある商品で勝負するかもしれません。

 

一方で、自店舗で最終決断してくれそうな時間の限られたお客様であれば、広告料が多い物件を優先して案内し、営業マンは自分の売上実績にしたいと思うかもしれません。

5.まずは問題点を正確に見極めること

ビジネスでも一番大切なのは問題点を正確に掴むことだとされています。多くの問題点がスピーディーに解決しないのは、問題点の設定自体が間違っていることが多いからです。そして問題があるかどうかの基準は、数値で把握することがポイントになります。

 

賃貸募集で考えると、、、空室が長引く原因は、大きく2つしかありません

  1. 内見するけど決定しない(決定率)
  2. 内見自体が少ない(内見数)

 

極論すると、この2つしかありません。

 

内見は毎週のようにあるけど申込みがない場合は決定率が問題です。そもそも月に1件くらいしか内見がない場合は、内見数が問題です。ご自分の物件の問題が内見数なのか、決定率なのか、まずは正確に問題を掴むことです。

6.成約率UPのためにすべきこと

売上アップ

 

成約率が悪い場合は、リフォーム面・設備面・その他現地で感じたお客様の感覚が、ニーズに沿っていないことが多いです。

 

基本やネット上や店頭で、物件のスペックや立地を見て現地を内見しますが、それは受験でいう「足切りを免れた状態」に過ぎません。駅徒歩〜分以内がいいとか、バス・トイレ別が必須とか、駐車場の有無など、大きな部分のスペックで判断します。

 

続いて現地に行くと、もっと細かい部分に目が行きます。例えば、日当たりの良し悪しや、エアコンがあるか、収納スペースが十分かなどです。また設備の細かい使い勝手、部屋のお洒落さ、建物周辺の雰囲気や生活に便利そうか、など居住性」というのが大切な要素になります。

 

もちろんオーナーが、日当たりを改善することはできません。ここで重要なのは、オーナーが改善できる部分がどこかということです。基本は設備面やリフォーム面などのバリューアップが中心になります。

 

決まらない物件は、同じ価格帯で比べた時に、他の物件に負けている要素や設備があるという場合が多いです。対策としては、WEBで競合物件がどのような設備や仕様やリフォームを施しているかという、競合分析を徹底してやりましょう。

 

基本ルールとして、賃料は相場平均だけど、バリューUPして選んでもらうか、設備や雰囲気は凡庸だけど、賃料を割安にして選んでもらうのかの2択がメインになります。

 

注意点として、ネット上の物件は売れ残っている物件ですので、魅力のエッジをかなり明確にしないと決め物件にはなりえないことを心得ておいて下さい。またターゲットに沿った魅力にないと意味がありません。

 

よくある間違いとして、駅から歩く距離が遠いような男性向けの単身物件なのに、モニター付きインターフォンを付けても、効果が薄いです。

 

モニター付きインターフォンは、不審者や防犯的な意味合いなので、女性にウケる要素になります。ターゲットニーズに本当にあるのか?という問いかけを常にすることが大切になります。

7.内見数UPのためにすべきこと

決定率というのは内見数が増えると決まるものです。10件内見しても決まらないというのはよっぽどの物件です(逆にどこに惹かれて内見してくださったのか疑問です)。

 

そういう意味では、内見がそれなりにあれば、どこかで決まるものです。一番の問題は、内見が入らないことの方が多いでしょう。内見数を増やす方法は3つあります。

WEBの写真掲載を変える・増やす

募集条件(家賃・管理費など)を減額するとオーナーにとっては、取れる収益が減ります。もし物件の魅力(立地・設備・住環境)が問題ないと確信しているのであれば、まずはWEBに掲載している募集写真を変更しましょう。

 

WEB→店舗というのが基本ルールですので、まずはWEBの掲載が魅力的に映っているかを疑わなければいけません。よくあるのは

  • 「写真が暗い」
  • 「写真の枚数が少ない」
  • 「設備・空間の全写真が網羅されていない」
  • 「魅力的なアングルで撮影されていない」
  • 「共用部や外観など全体像が分かりにくい」
  • 「物件周辺の魅力(お店等)が掲載されていない」

などです。

 

またお部屋の写真が1枚しかないとか、様々なアングルで撮られていないので、どんなお部屋か写真から想像しにくいというケースもあります。

家賃の見せ方を変えてみる

写真が問題なければ、次にWEBでの家賃が魅力的に写っていない可能性が高いです。これには掲載順位も影響してきます。

 

お客様がWEBで物件を見つけられなければ、問い合わせや来店に繋がる可能性が極端に低くなります。お客様がWEBで物件を探す時は、まず大きな条件(家賃価格帯、徒歩〜分、希望設備)などでソートします。

 

その時たとえば、家賃が40000円・管理費2000円・駐車場3000円の合計45000円で出だすと、賃料が40000円以下で検索している人には引っかかってきませんが、家賃39000円・管理費1000円・駐車場5000円で出せば総額は45000円で同じですが、4万円以下で探す人の検索にはヒットします。

 

また家賃42000円・管理費3000円の物件と、家賃40000円・管理費5000円の物件では総額は同じですが、ホームズというポータルサイトでは、後者のほうが掲載順位として早く出てきます。これは賃貸激戦区であればあるほど1000円、2000円の差で、掲載順位が10件も20件も若くなったりするので侮れません。※SUUMOは総額表示なので順位は一緒です

募集店舗を広げる。

管理会社だけで、内見が増えない場合には、一般募集で幅広く募集します。こういう営業努力を怠っているオーナーの人は多いです。

 

まず最初にすべきことは、管理を任せている会社に断りを入れましょう。これを怠ると管理会社との関係が悪化します。「内見をもう少し増やしたいので、他業者に営業しても良いでしょうか?」という会話をすることが大切です。

 

そして管理会社には、募集図面を他業者に展開することネット掲載の許可を取ることを忘れないようにします。通常、募集図面は、レインズやアットビービーというサイトで業者間で共有できますが、一部加盟していない場合があるので、管理会社に事前に確認しておきます。

 

あとは内見方法ですが、鍵管理をキーボックスにすることが一番業者から喜ばれます。内見したくても一度、管理会社(元付け業者)に立ち寄らないと鍵をGETできないようだと面倒です。キーボックスの場所と暗証番号を、他業者に事前に電話で伝えておけば問題ありません。

 

他業者は、報酬としてお客様からの仲介手数料と、管理会社またはオーナーからの広告料を受け取ることができます。通常はお客様から1ヶ月、管理会社またはオーナーから1ヶ月で2ヶ月あると喜ばれます。

 

内見して、申込みが会った場合、申込書は、客付け業者→管理会社に送られて、契約書の締結は管理会社で行ってもらいます。アパートの場合は、こうすることで、管理会社を変更すること無く、全戸一括で管理委託することが可能です(お部屋ごとに)。

8.広告料・フリーレントの使い方

賃貸物件

 

賃貸では法律により、管理会社が受け取る仲介手数料は、お客様からもらう1ヶ月分だけです。ゆえにオーナーからもらう手数料というのは厳密には仲介手数料ではありません。これは特別広告料・事務手数料など別のネーミングになっています。

 

この広告料は通常は1ヶ月取る会社が多いですが、激戦区では2〜3ヶ月ないと、なかなか動いてくれない会社もあります。地方だとほとんど1ヶ月が相場です。もし内見数が上がらない場合は、広告料キャンペーンを打つオーナーが多いですが、1ヶ月を広告料として客付け会社のインセンティブにするのか、お客様にフリーレントとして還元する方法があります。

 

よく内見数UPのために、フリーレントを最初から設定するオーナーがいますが、これはあまり内見数を上げることには効きません(実際に複数の客付け会社がそのように言っています)フリーレントは最後の決め手にはなりえますが、フリーレントが付いているから内見してみよう!というケースは極めて稀です。

 

基本はお部屋を気に入ってもらった後に、2物件で迷っている時のカードとして出すか、入居を数ヶ月先で考えていた人が、今月申込みをもらいたいときに裏の手として出すから効果があります。広告料にするか、フリーレントにするかは、不動産会社に営業現場で選んでもらうほうが使いやすいケースが多いようです。

最後に

人口が減少し、地方は過疎化しています。また都市部でも新築が乱立する時代です。これからの時代、入居者募集が簡単なエリアはないと言っても過言ではありません。現代は、賃貸市場における戦国時代です。オーナーの努力なくして簡単には行かないでしょう。

 

また空室対策はあるエリアにおいては有効でも、他のエリアでは全く通用しないこともあります。しかしながら、マーケティング活動の大原則というのは当然あります。大切なのは、原則を守りつつ、市場や環境に応じて、柔軟にアレンジしていくことです。

 

基本ルールは、お客様にあなたの物件の存在・魅力をしっかりと認識してもらうことです。そして内見したお客様に喜ばれ、不動産会社に喜ばれる物件を提供することです。長期間空室が続くようなら、マーケティングプロセスを一つ一つ丁寧に振り返ってみることも大切だと思います。

 

以下、関連記事です。

 

▼空室対策で私がやっていることを7つのポイントとしてまとめています

 

▼空室が長引くと、家賃収入が減って辛い状況になります。ペリカンがやっている空室が出た後のアクションプランについて解説しています。

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