サラリーマン大家のための公庫の最新融資基準

こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。現在アパート3棟、戸建て8棟を運営しています。

 

お陰様で、2015年から不動産投資スタートし、2016年夏にサラリーマンを卒業しました。

 

さて今回のテーマは日本政策金融公庫のサラリーマン大家さん向けの融資情報です。

※私は公庫はこれまで5回融資してもらっていますので、その経験から本記事を書いています。

 

みなさんに参考になることがありましたら幸いです。

1棟目を法人・個人どちらで買うべきか?

会社

 

一般的に、サラリーマンでありながら新設法人を立ち上げ、不動産投資をするのは、就業規則違反に抵触するケースがあります。また規則違反にならなくても、会社員でありながら法人の代表になってよいのか一抹の不安があるでしょう。

 

ちなみに法人を設立すると、立ち上げ費用のほか、税理士費用も毎年掛かります。投資規模が小さい時に法人を立ち上げても、節税効果より費用のほうが高くなるケースもあります

 

したがって規模が大きくなる見込みが立ったときに、そこから法人購入にシフトしたり、個人の物件で長期ホールドするものについては、法人に売却していく戦略もアリだと考えています。

 

また資産形成は不動産投資だけに依存するものでもありません。他の投資で魅力的なものが見つかる可能性もあります。したがって1棟目は個人名義でまずは取得してみるのも理に適っていると考えています。

 

1棟目が軌道に乗って、不動産投資で生きていく!と決めてから法人化を考えても、けっして遅くはありません。

サラリーマン大家への融資

前置きが長くなりました。そんなサラリーマン大家さんが不動産投資をスタートする時に、最初は小さめの物件からスタートするのが、リスクの観点からは良いでしょう。

 

小さめの中古物件(数百万〜1000万レベルで築古)となると、融資してくれるのは次のような金融機関に絞られてきます。

     

    • 地方銀行
    • 信金、信組
    • オリックス銀行
    • 三井住友トラストL&F
    • セゾンファンデックス
    • 日本政策金融公庫

     

    この中で、地銀・信金・信組というのは「法定耐用年数内の融資期間」というのが融資条件になっていることが多く、中古の築古物件を買うには使い勝手が悪いです(一部、耐用年数超えの融資を行っている地銀もありますが属性や自己資金の条件がキツい場合が多いです)。

     

    オリックス・三井住友トラスト・セゾンファンデックスなどのノンバンク系だと、金利が3%〜4%弱と高めです。

     

    高利回りであればこうした金融機関でもマッチしますが、高稼働で運営するのが難しい地方物件でノンバンクを使ってしまうと、入居率が下がったときに返済(金利負担)が重くのしかかります。

     

    そこで、最初の1棟目にオススメなのが「日本政策金融公庫(以下、公庫)」ですね。

    公庫の「新規開業資金」制度

    公庫は年収基準で足切りなどがなく、セーフティーネット融資が大半を占めることから、属性の低い人や自己資金が少ない人にも門戸が開かれているのが特徴です。

     

    最近は「公庫の不動産融資が10年しか出ないので厳しくなった 」という噂があります。しかしこれは現実を捉えた言い方ではありません。

     

    なぜなら公庫の普通貸付は、今も昔も10年(運転資金は7年)が最長でした。これはずっと変わらない融資基準です。

     

    では昔は、公庫で15年〜20年の不動産融資を引けていたのはなぜでしょうか。それは「新規開業資金」という名目での融資だったからです。これは、2期以上の賃貸業の実績(もしくは不動産業界で働いていた実績があること)が要件になっています。

     

    本資金の貸付可能学は1,000万円以内という条件がありますので、小さな物件に適しています。

    女性、若者/シニア起業家支援資金

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    公庫では「女性、若者/シニア起業家支援資金」という別の名目で、賃貸業で15年〜20年の融資が出た時代も、昔はありました。

     

    難しいのは、この制度の場合も、女性・若者・シニアならではの視点を取り入れた事業でないと融資が下りません。

     

    例えば、女性のために防犯面を強化したり、女性に好まれるリフォームをするなど、かなりプレゼン内容を工夫しないと厳しいようです。若者向けにクロスの色など、内装を工夫するなども良いです。何らかの「大義名分」が必要になります。

     

    実際、私が2018年に入ってから公庫の4つの支店にヒアリングしたところ「賃貸業で、女性・若者・シニア支援資金で融資を出すことは現在は難しい」と明確に言われました。

     

    有名な不動産投資の本でも、女性・若者・シニア支援制度で融資してもらいました!という記載がよく見られますが、(支店や担当者にもよりますが)現在は実質的に厳しくなっています。

    セーフティネット貸付

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    公庫に「セーフティネット貸付」なるものがあります。これも最長15年可能ですが、こちらもすでに2期以上の申告がある事業者向けです。

     

    名目は「売上の安定図る」ということになりますので、一時的な業績悪化があるが将来的に発展する見込みがある個人・企業への貸付ということになります。

     

    私もセーフティネット貸付の中の「経営環境変化対応資金」という名目で融資を引いたことがあります。当時は、減価償却費でぎりぎりの黒字ラインでしたが、2期以上の賃貸業実績があったため、ここに該当したものと思われます。

    不動産投資での公庫活用策

    初めての公庫利用の場合、普通貸付(期間10年)となることがスタンダートになります。これだと融資期間はキャッシュフローにダイレクトに影響するため、手残りが少なくなります。

     

    しかし普通貸付の中にも新創業融資を適用してくれることがあります。同じく10年の融資期間にはなりますが、無担保で融資が付く可能性があります。

     

    したがって1棟目は無担保で10年の融資を引いて、2棟目にアパートを買う際に、共同担保として活用するという道筋が、レバレッジ経営としては有効です。

     

    注意点としては、無担保融資は400万円程度が限界になります。500万円で無担保融資というのはかなり稀なケースです。大原則、公庫は担保提供は必要というスタンスだからですね。

     

    また賃貸業の場合、購入する物件単体で収支が回って運営できるというのが大原則になります。

     

    ですから、10年という期間でも、修繕費・固定資産税なども加味して、十分利益が出るという評価がなされないといけない、ということになります。収支計画や修繕計画なども相当見られると思っておいて間違いありません。

    実際の融資活用例

    例えば500万の戸建てを購入検討する際に、300万円を融資10年・金利2.3%・無担保融資で取り組みます。返済は毎月28,008円になります。

     

    差額の200万+リフォーム費60万+諸費用40万=合計300万は自己資金から投入します。家賃を7万円で貸せば、毎月4万円くらいキャッシュフローが出ます。

     

    これにより頭金300万の拠出で、年間48万円の回収ですから、自己資金に対する利回りは16%くらいにはなります。しかも返済28,000円のうち、22,000円は元本返済なので、積み立て貯金をしていると考えれば良いと思います。

     

    これにより以下の3つが実現します。

    • 毎月4万円手残り
    • 毎月2万円元本返済(純資産化)
    • 無担保物件の保有

     

    無担保物件ができることでどんどん次の投資も加速していきます。例えば、高利回りの地方アパートだと積算評価が出ないので、自己資金や共同担保が必要な時に、この無担保物件が活きます。

     

    最初から1棟物の重量鉄骨・RCマンションを買って、ガンガン借金を増やしていくことに心理的抵抗がある方もいるでしょう。その場合は、こうしたコツコツ地道にキャッシュフローと純資産化を進めていく不動産投資も悪くないと思います。

     

    投資の目的は人それぞれですから、正解はありません。そして融資基準は日々刻々と変わりますから、書籍の情報も古くなっていきます。ある人に適用できた方法が、他の人に100%適用できるわけでもありません。支店・担当者の裁量もあります。

     

    情報感度を高くし、自分で情報をアップデートしていくことも不動産投資家には求められています。

     

     ▼ノンバンクは金利が高めなので、高利回りの物件としか相性が合いません。しかし使い方によっては、レバレッジを効かせて一気に大気圏を抜けることができます。

     

    ▼無担保で2000万の融資枠があるマル経融資の活用について解説しています。

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