こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。千葉県で28世帯の大家さんをしています。
築古の戸建て投資は、2014〜2015年くらいから流行り始めました。その後、築古戸建て大家さんがどんどん増えて、50万円とか100万円など激安で購入した物件を、根性とDIYで再生する凄腕投資家さんが増えましたね。
田舎の格安物件だと表層リフォームして、家賃3万〜5万円くらいで貸すパターンが主流です。しかし、そのような低家賃にするデメリットは家賃にする修繕比率が大きくなり、運営リスクが上がるのをどう評価するかですね。
また昨今は、田舎エリアでも不動産価格が上昇傾向です。雨漏りや傾きなど難アリであっても、そうそう安く買えるケースは少なくなっています。
ですから今は「安く買い、安く貸す」のではなく、どうやったら高く貸し、収益性と運営の安定性のどちらも追い求めるかは一つのポイントになっているでしょう。
というわけで今回は、路線価の付いてないエリアで、戸建てをフルリフォームして高家賃で入居が付いた事例を、ぜひご紹介したいと思います。
度重なる交渉の末、売出しから30%の指値が通る!
Gさんとお会いしたのは2022年の8月でしたね。カフェ相談を通じてお会いしたのが最初でした。都内で会社員をされていらっしゃいましたが、副業として戸建て投資を検討されていらっしゃいました。
目標としては、マイクロ法人を設立して戸建てをコツコツ買っていくことで、大成功を狙うよりは、堅実に着実に実績を積み重ねていきたいということでした。
すでに埼玉県の田舎エリアの物件を見つけておられて、買い付けを出すかどうか迷っているということでしたのでそのあたりからご相談をスタートしました。
その物件はアットホームにて500万円で売り出しされていた物件が、450万に下がったタイミングで問い合わせをしたようです。何度か交渉の末、370万円で購入することが決定しました。まさに売出しから3割近い指値です。
近隣は埼玉の田舎エリアであるものの、企業の工場が点在し、スーパーや飲食店も車で数分も走ればけっこうあるので、生活するには問題がない場所です。
外壁塗装+内装全体でフルリフォームを実施!
室内はリビングの雨漏りをはじめ、扉という扉がすべて外されているなど、かなり痛みが激しい物件でした。
ビフォアから見ていきましょう。
内装ビフォア
こちらリフォーム前の写真ですね。
まずはなんといっても、雨漏りがひどい物件でしたね。
原因は2階バルコニーの防水が切れていることでした。1階リビングにもろに雨漏りしており、前の売主からは修繕済みと聞いていましたが、内装はそのままの状態でした。
外壁もチョーキングしてきているため、塗装コストをかけると利回りが低下する点がGさんもかなり悩んでおられるようでした。最終的には運営の安定性と出口の取りやすさを考えて、大規模修繕する決断をしました。
内装アフター
水回りはウォシュレット、洗面台を新品で設置。
お風呂については塗装と床シートで、清潔感をしっかり演出されています。
扉が崩壊していたキッチンはまるごと新品に交換されています。
やっぱりが新しいと本当に気持ちよく過ごすことができますね。賃貸物件を決めるのは夫婦だと奥様だったりしますので、水回りの綺麗さは最重要ポイントといえるでしょう。
下の新品キッチンにあわせて、上の吊戸棚は塗装されたんですかね。素敵なリフォームだと思います。
リビングの雨漏りも下地から修繕。白基調のクッションフロアも清潔感があってGOODです。
こちらは扉がハズレて無くなっていたクローゼット部分です。新しいドアや建具を付けるのではなく、ロールスクリーンで代用するというのは、コストカットとして非常に良いと思いました。
屋根・外壁塗装も終えているので、むこう10年〜15年くらいは大規模修繕は不要でしょう。
バルコニーも防水しているので、雨漏り再発の心配はありません。
こちらの防水塗装は5年〜7年に1回ほどはトップコートの塗り直し等をしていけばだいぶ持ちがよくなるはずです。定期メンテナンスをぜひ心がけていただきたいですね。
入居募集&物件収支について
募集後は速攻ですぐに反響が出て、2組からお申込みがありましたが、一組は保証審査落ち、もう一組も異動の時期がズレたということで残念ながら見送りとなりました。
しかし再募集後もすぐにお申込みが入り、こちらは無事に保証審査が通りました。気になる家賃は、なんと8万円!ということなので、田舎エリアとしての戸建てとしてはかなり高い水準ですね。
最終的な収支は、以下になりました。
- 物件購入価格 370万
- 諸費用 40万
- リフォーム費用 320万(内装220万、外装100万)
- 施主支給(設備支給、分離発注等) 30万
- 家賃:8万円(実質利回り12.6%)
そこそこ田舎での投資ということを考えると、利回り12.6%というのは平凡だと思う人も多いかもしれませんが、内外装フルリフォームすれば、こんなものですね。
多くのボロ物件は表層だけリフォームして、修繕が発生するたびにもぐら叩きで修繕費がかかるので、これだけ外壁と水回りをバッチリやっていれば、所有期間中の手間がかかりません。
また出口も堅くなることの効果は長期的には大きいですね。1棟目の物件にして、これだけフルコースでのリフォームを経験していれば、今後はどんな物件でも再生できるスキルが得られた点が、もっとも意義があると思います。
あとがき:バリューアップして、高家賃を目指そう!
私自身も最近は、土地から新築アパートをやっていますが、これも土地が高く建築費も高くなっている中で、普通にアパートを建てたら利回り6%、7%になってしまうことが多々あります。
ですから、これからのアパート経営や不動産投資は、高い家賃をいただけるようしっかりバリューアップしておくことが大切になってくると考えています。
それが運営の安定性と出口での手離れの良さにつながります。また住んでいる入居者さんの満足度を高めることにつながりますので、入退去が少なくなるはずですね。
Gさんは今回は現金投資をされたそうですが、今後は戸建て投資であっても、融資を積極的に活用していくことが次のポイントになっていくでしょう。公庫、マル経、信用保証協会付き融資などは、リフォーム名目での融資相談が可能です。
100万200万など少額でも借りて金融機関との関係を作っておけば立派な融資実績になりますし、将来的にレバレッジを効かせた不動産投資をするときの頭金余力を残しておくことにもつながるでしょう。
もう一つは、エリアの見極めですね。今回は、埼玉のそこそこ田舎エリアでの投資でした。同じような物件を買い増すことは問題有りませんが、あまり田舎の物件に現金を突っ込みすぎるのはおすすめしません。
あまり遠隔地になると将来的には管理の煩わしさと、土地の価値が希薄なことによってBS上では債務超過扱いをされてしまい、長い目で見ると金融機関での評価が悪くなる(=融資が出にくくなる)可能性があるからですね。
ですから、ある程度まで地方築古を買い進めたら、立地を少しずつ良い場所にシフトしていくか、もしくは新築など金融機関からの評価が高い物件に切り替えていくことをおすすめします。今はまだそこまで意識が及ばないかもしれませんが、ぜひ頭の片隅に置いておきましょうね。
理知的なGさんですから、そのあたりは既に思いを巡らせていらっしゃると思いますが、念の為申し添えておきますね。共にがんばっていきましょう。
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